今や貴重な存在になりつつある志津川タコ

タコ焼き・タコ飯・タコの刺身…。日本人にとって身近なタコは、世界で捕れるタコの6割を日本が消費していると言われています。しかし国内で捕れるタコは年々減少傾向にあり、チリやアフリカからの輸入品も多く出回っています。

貴重な存在になりつつある国内産のタコですが、その中でも良質とされる志津川で水揚げされたタコの行方を追ってみましょう。

 

1匹10kg以上のタコも

まず、タコ籠にかかったタコは船にあがると、すぐに氷水に入れられます。これは、海底の水温が海の表面の水温より低いため、冷やさないとすぐに死んでしまうから。

さらに一匹ずつ“タコネット”と呼ばれる網に入れ、タコ同士が共食いするのを防ぎます。

こうして漁港についたタコは、週三回放射線量のチェックを受けていて、規定値以上の数値はこれまで一度も出ていません。  

 

志津川漁港での競りの様子

スーパーでパック詰めされたタコは足の一部だけということがほとんどですが、志津川の魚市場に並ぶタコは立派!中には1匹10kgを超えるものもあり、その大きさに圧倒されます。

しかも「西の明石、東の志津川」とも言われるほど志津川のタコはおいしいと知られていることから、近隣の漁港であがるタコに比べて価格も高めなのだとか。

 

志津川から全国へ

競り落とされたタコは、近くは南三陸町の飲食店やホテルへとたどり着きます。

南三陸町の復興市でもタコは人気

南三陸町では地元の名産品を使った丼“キラキラ丼”にも志津川のタコが使われていて、そのおいしさは南三陸町の誰もが認めるところ。多くの飲食店で新鮮なタコを味わうことができます。

一方、遠くへと旅をするタコはというと、東京の築地市場や中央市場などに着いた後は、全国のスーパーや、都内の寿司屋に並ぶものも。皆さんが普段何気なく口にしているタコも、もしかしたら志津川で捕れたタコなのかも!?

その他、工場で燻製や干しタコなどに加工されるなど、志津川のタコは日本全国からまさに引っ張りダコ状態。

 

志津川のタコが食べられなくなる?

しかし近年、国内で捕れるタコの減少と比例して志津川で捕れるタコも年々減少傾向にあるのだとか。

さらに震災により志津川でタコ漁を行う漁師さんも少なくなっています。おいしい志津川のタコを絶やさないためにも、今タコ漁を応援することが必要になっているのです。

 

≪3.震災の被害 5.タコの生態≫