子ども・子育て

  • 校庭や公園に仮設住宅が建設されるケースが多いことから、放課後を中心として、幼児から中学生程度の子どもが遊ぶ場所が不足している
  • 遊び場の不足が体と心の健康に与える影響が指摘されている
  • 遊び場づくりの活動に対する支援が必要

キーワード:遊び場づくり、放課後の居場所、子どもの健康、子どものストレス、子育て支援、仮設住宅の影響など

子どもの遊び場不足

岩手、宮城、福島の被災3県では、81,730人が仮設住宅に暮らしており、供給戸数52,378戸の入居率は74%(2015年1月現在・毎日新聞調べ)。これら多くの仮設住宅が建設されているのは、行政が土地を管理している公園や学校といった子どもの遊び場であった場所でした。また、津波被害や福島第一原発事故の影響により外遊びが制限されるなど、子どもがのびのびと体を動かして遊ぶ場所の多くが失われました。

応急仮設住宅建設用地の種類別箇所数(岩手県・「応急仮設住宅の建設に係る進捗状況について」より) 図

復興計画上、住宅再建や仕事・事業環境の整備などが優先され、子どもの遊び場などの教育・文化施設の優先度は低く、後回しになりがちです。仮設住宅を集約する方向性を示している自治体もありますが、遊び場に関する明確な復興ビジョンは見えていないのが実情です。

子どもの健康への影響

体を動かして遊ぶことができないことにより運動量が減ること、および、それに伴うストレスなどにより、地域によっては子どもの肥満傾向の上昇が見られる等、健康状態への影響も指摘されています。また、仮設住宅に居住する子どもと、そうでない子どもとを比較したところ、仮設住宅に居住する子どもに肥満傾向が見られたという報告もあります。

肥満傾向児の割合

小学校男子
  平成23年 平成24年 平成25年
全国平均 10.2 10.1 10.0
岩手 13.8 15.1 14.6
宮城 14.5 13.3 13.6
福島 15.5 17.2 17.4
小学校女子
  平成23年 平成24年 平成25年
全国平均 8.0 8.1 7.8
岩手 11.8 10.5 11.0
宮城 10.3 10.5 10.7
福島 10.5 12.8 12.2

※文部科学省 全国体力・運動能力。運動習慣等調査結果・特徴(小学校)
※体格と肥満度に関する調査の結果 1.都道府県別の状況より抜粋

子どもと遊び場

「子どもの遊び場づくり」の活動を行う団体のスタッフによると、遊び場を開設してからの子どもの様子には大きな変化が見られるといいます。思いきり体を動かし、走ったりジャンプしたりすることで体力がつくことに加え、自由に遊ぶ中で、それぞれが得意なことや好きなものを見つけ、互いにそれを教えあうことを通じて、友達とのコミュニケーションが自然に取れるようになります。また、遊びに全力を注ぐことで、子ども自身が震災で負った心の傷を癒していくことも少なくないといいます。

用地不足などにより、遊び場を十分に確保するにはまだ時間がかかることが見込まれる中、子どもが自由に体を動かして遊べる場を作り、子どもの体と心の健康を維持するための活動は、今後も引き続き重要であり、このような取り組みに対する資金面、人材面での長期的な支援が求められています。

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