若者の関心や能力の底上げで、復興を加速させる
<一般社団法人 ふくしま連携復興センター>

団体と助成の概要

 

 東日本大震災からの復興に向け、長期的に復興に取り組む担い手が必要とされています。しかし一方で2012年9月、福島県内のボランティア数は1,300人。岩手県の12,900人、宮城県の10,000人と比べても圧倒的に少ない人数となっています(全国社会福祉協議会調べ)。特に福島県内からのボランティア数が少ないことが指摘されており、住民が主体となった復興を進めるためには、住民自身の地元福島に対する関心を高めることが重要視されています。

 「一般社団法人 ふくしま連携復興センター」では、長期的に復興に関わることのできる若者へ向けて、地元NPO等が行う支援活動や地域活性化のための事業へ参加するためのきっかけづくりや意識の底上げに加え、これからの復興の担い手となるための能力の向上を目的とした講座を行っています。

 

若者の社会参画のきっかけづくり

インタビュー講座の様子

 2012年10月、福島県福島駅近くの事務所で行われた人材育成プログラム“ふくしま人図鑑”のインタビュー講座。独自のインタビュー手法を通して、様々な活動に取り組む人物の「人柄」や「思い」を聞き、人物図鑑を作っている株式会社聴き綴り本舗の西尾直樹さんを講師に招きインタビュー手法を学ぶこの講座には、福島県内の大学生たちが集まりました。講師の経験をふまえたインタビューのポイント、事前準備の仕方などを説明すると、参加者たちはメモを取りながら真剣なまなざしで聞き入ります。

 「どんな人にインタビューしてみたいですか」と講師から質問されると「身近な友達にインタビューしてみたい。改めて知る一面があると思う」「行政の人に、どんな思いで働いているのか聞いてみたい」といったやり取りがなされました。3人で1グループになり、聞き手・話し手・記録係に分かれてそれぞれを体験してみると「記録するだけでも大変。これをインタビューと同時にするとなったら難しい」「元々知っている人をインタビューしたけれど、改めて聞くことで新しい一面を知った」などと、インタビューの楽しさと難しさを実感しました。

聞き手、受け手、記録係に分かれ実践

 参加した大学生の鈴木さんは「ポイントを分かりやすく教えてもらえた。次回のインタビューで役立てたい」と話し、講座によりモチベーションの高まりも実感できた様子。また鈴木さんは、福島県で活躍するリーダーなどを紹介する“ふくしま人図鑑”のインタビュアーとしても参加する予定だといいます。

 ふくしま連携復興センターでは、若者の人材育成プログラムとして、4つの講座を実施しています。即興劇の練習手法を取り入れ、コミュニケーション能力の向上を目指した“インプロ”、復興プロジェクトのリーダーを訪問・招聘して対話するイベント“ナナメあっぷ会議”、インタビューの手法を学ぶための“ふくしまじん図鑑”、若者自ら考えたプロジェクトの発表を行い他の参加者からの意見を聞く“マイプロ”。4つのプログラムは、若者のレベルに応じてステップアップできるように作られており、全く市民活動やボランティア参加などの経験がない若者でも、これらの講座に段階的に参加することで、最終的には自ら考えたプロジェクトの発表までができるようになることを目指しています。

 「ボランティアや復興へ興味を持つ潜在的な若者はたくさんいると思います。ただ、きっかけやタイミングが少ない。このプロジェクトが若者たちのきっかけとなれば」と、ふくしま連携復興センターの羽鳥圭さん。これらの講座に参加した若者の中には、漠然と「関東に住む人たちに向け、福島の魅力を伝える観光ツアーをやってみたい」という状態から、“マイプロ”で自分の企画を確立させていき、福島県の自然や人にフォーカスをあてたツアーを企画、催行した例も生まれました。また、一連のプロジェクト参加を経て、郡山市内で活動する子ども支援関係の地元NPOのスタッフになった若者もいます。

 

アイデアやコミュニケーションが生まれる街へ

お話しを伺った羽鳥圭さん

 ふくしま連携復興センターでは、NPOなど様々な市民活動団体の連携や課題解決のためのサポートも実施しているため、センターでは講座に参加した若者と団体とをつなぐ役割も担っています。若者からの相談も数多く寄せられ、主体的に活動に取り組みたいという思いの受け皿となっています。

 羽鳥さんは「いつか福島がニューヨークのようになるといいですね。様々なアイデアやアクションが生まれるような…。その中で、人と人とのコミュニケーションを促したり、組織の硬さをもみほぐしたりといった役割を持てたらいい」と希望を語りました。

 福島に暮らす若者たちが自ら地域の課題に関心を持ち、行動を起こそうとする思いを後押しするふくしま連携復興センター。10年後、20年後の希望に向かい、震災からの復興に不可欠となる若者たちの力の種を育む取り組みに尽力しています。